新内流し

豊後節は、江戸を追われるまで歌舞伎の劇伴(劇付随音楽)だったわけですが、豊後掾が京都へ戻ってから江戸で生まれた常磐津はそのまま劇伴としての道を進み、富本や清元は庶民の習い事やお座敷での音曲へと変化していきます。そして、新内は劇伴からストリートへと進みます。その切ない音色と情緒的なお話の内容が、遊里の女の琴線にマッチしたんでしょうね。

そんな新内ですが、ストリートでの営業活動として新内を流して歩き、お客さまから声がかかったらその門口、あるいはお座敷に招き入れられて演奏するわけです。
新内流しは、基本は二人一組、二丁の三味線で歩きながらの演奏です。二丁の三味線はユニゾンではなく本手(ほんで)と上調子(うわじょうし)で、本手はポツリ・ポツリと雨だれのように弾きます。上調子は高音域を担当します。二丁の三味線が奏でるのは哀切のメロディだな〜と思うわけです。

新内流し

こちらのYouTube動画は、江戸時代末の深川の町並みを再現した深川江戸資料館で撮影した写真とともに江戸の風情をお楽しみいただけます。お正月の展示の時期に行きましたので、街角には門松や凧の展示がありました。