明烏夢泡雪

新内ってどんな演目があるの?と聞かれたら、まず出てくるのが「蘭蝶(若木仇名草)らんちょう」と「明烏(明烏夢泡雪)あけがらす」です。

「明烏」は、鶴賀若狭掾の創作で1772年に生まれました。実話(1766年に起こった玉屋の遊女三芳野と町人伊之助が白ちりめんのしごきで体を結んで隅田川に浮かんだ心中事件)を元にしたお話しです。
新内では、吉原の山名屋の遊女浦里と春日屋時次郎の物語となります。
時次郎が浦里に入れあげて、借金までして廓に通い詰めた挙句、布団部屋かどこかに潜んでいたところ、見つかってしまい本人は逃げたものの、浦里は庭の木にくくりつけられ、折檻(雪攻め)を受けるわけです。

明烏雪攻め
明烏雪攻め

その後、時次郎は浦里を助け出しはするものの、おきまりの心中と相成ります。
このお話し、前後編(上/下)に分かれていて、落語では堅物の若旦那時次郎(19才)が町内の遊び人(源兵衛と太助)から廓指南を受けるみたいな内容です。そして初めて会った花魁と相思相愛になっちゃった。。あたりまでのお話ですね。浦里は18才となっていますが、実際の三芳野と伊之助はそれぞれ3〜4つ年齢が上のようです。

蘭蝶の方は、既婚の幇間、蘭蝶が花魁を好きになるお話しに対して、こちらはうぶな呉服屋の若旦那が花魁を好きになっちゃうお話しで、同じ心中ものでも内容がかぶっていないんですね。
実話を元に1曲書いた鶴賀若狭掾は、ソングライターとして花開いたんでしょうか。この後、蘭蝶を創作したと言われています。